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【調査事例】築100年の蔵で見た「雨漏りを放置した家」の末路|床のカビ、白華、腐り始めた梁

現場コラム(職人の実体験)

「蔵で雨漏りしているので見てほしい」——そんなご相談で伺った、築100年以上の土蔵の調査記録です。

こんにちは、雨漏り修理職人のハレタです。

今回の現場でお見せしたいのは、原因そのものよりも「雨漏りを長年放置するとどうなるか」という結果のほうです。正直に言うと、蔵に入った瞬間に「これはずいぶん前から漏っているな」と分かりました。その理由を、順番にお見せします。

物件と症状のデータ

建物 土蔵(築100年以上・九州地方)
屋根材 日本瓦(和瓦)
症状 長期間続く雨漏り。床面の広範囲に水染み・カビ
調査方法 屋根に上がっての目視調査+内部・小屋裏の確認
特定した原因 瓦のズレ・経年劣化、棟の漆喰の崩れ
処置内容 屋根の葺き替えを提案(見積提出済み・工事はこれから)

症状:床が語っていた「放置された年数」

蔵の床に広がる雨漏りの水染み跡
物が置かれたまま、床には広範囲に水染みが
黒く変色した床板と白いカビ、白華
黒変色・白いカビ・白華。長年繰り返された雨漏りの証拠

蔵の中に入って最初に目に入ったのが、この床です。

雨漏りが「今始まったばかり」なら、床は濡れているだけです。しかしこの現場は違いました。板が黒く変色し、白いカビが綿のように広がり、白華(はっか)まで出ています。

白華というのは、水が建材の中を通るときに成分を溶かし出し、乾いて表面に白く結晶化したもの。つまり「濡れて、乾いて、また濡れる」を何年も繰り返した証拠です。一度や二度の雨漏りでは、こうはなりません。

床に置かれた段ボールや道具の跡を見ると、雨漏りに気づかないまま物が置かれ続けていたことも分かります。蔵や物置は毎日出入りする場所ではないので、こうして被害の発見が遅れがちです。

ハレタ

この床を見た瞬間、「何年も前から漏ってるな」と分かりました。白い粉(白華)が出るのは、濡れて乾いてを何度も繰り返した屋根だけです。

被害は床だけではなかった

蔵の小屋裏。梁と野地板に水染みとカビ
小屋裏の梁と野地板にも水染みとカビが広がる

上を見上げると、小屋裏にも同じ痕跡がありました。梁と野地板に茶色い水染みが走り、その周囲に白いカビ。ここまで来ると、雨水は屋根から入って野地・小屋組を伝い、床に落ちるという経路が完成しています。

木造建築において、これは軽い話ではありません。構造材である梁が濡れ続けると、腐朽菌が入り、内部から強度が落ちていきます。表面が乾いて見えても、内部で進行しているケースは珍しくありません。

原因:瓦のズレと、崩れた棟の漆喰

築100年の蔵の瓦屋根。瓦のズレと棟の漆喰の崩れ
瓦が全体的にズレ、棟の漆喰も崩れている

屋根に上がって確認すると、原因は分かりやすいものでした。

  • 瓦が全体的にズレて、重なりが乱れている
  • 棟(むね)の漆喰が崩れ、剥がれ落ちている
  • 瓦そのものが経年で傷んでいる

瓦屋根は「瓦が水を受け流す」構造なので、ズレて重なりが崩れれば、そこから雨水は素直に内部へ入ります。棟の漆喰も同じで、崩れれば棟の内部に水が回ります。築100年以上、ここまで大きなメンテナンスをせずに来た屋根としては、むしろ自然な状態と言えます。

蔵という建物の作り

竹小舞の野地と丸太梁でできた蔵の小屋組
竹を縄で組んだ野地と、加工されていない丸太の梁

小屋裏を見て、思わず写真を撮ってしまったのがこの一枚です。

野地は竹を並べて縄で組んだもの、梁は加工されていない丸太のまま。今の住宅ではまず見られない、伝統構法そのものです。100年前の職人がこれを組み上げ、今日まで建物が建っているという事実には、同業者として素直に感服します。

ハレタ

竹を縄で組んだ野地に、丸太のままの梁。100年前の職人がこれを組んで、今も建ってるんですよ。思わず写真を撮りました。

同時に、これは「守るに値する建物」だとも思いました。だからこそ、雨漏りを止めることに意味があります。

今回の判断:部分補修ではなく葺き替え

今回は部分的な瓦の差し替えではなく、屋根の葺き替えを提案しました。理由は、傷みが一箇所ではなく屋根全体に及んでいるからです。事例⑤(波型スレート)と同じで、屋根材全体が寿命を迎えている場合、部分補修は「いたちごっこ」になります。

現在は見積もりを提出し、お施主様のご判断を待っている段階です。工事に進んだら、その様子も続編としてお見せします。

空き家・蔵の雨漏りが気になる方へ

使っていない建物ほど、被害が見つかったときには手遅れになりがちです。無料の一括見積もりで、複数の専門業者に現地調査を依頼するところから始めてください。
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職人からのアドバイス

  • 蔵・物置・離れは、雨漏り発見が最も遅れる場所です。年に一度でいいので、雨の日の翌日に中を見て、床が濡れていないか確認してください
  • 床の黒い変色・白いカビ・白い粉(白華)は、「今日の雨」ではなく「何年もの雨」のサインです。見つけたらすぐ相談を
  • 古い建物ほど、瓦のズレや棟の漆喰の崩れが起きています。地上から棟を見上げるだけでも、崩れは分かります
  • 「使っていない建物だから」と放置すると、直すときの費用は跳ね上がります。屋根だけで済んだはずが、構造材の交換まで必要になるからです

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